「『農業委員会に出す前に相談を』――農地転用の許可率を高めるプロの視点」

ソーラー発電の計画を進めている方の中には、「農地転用の申請は、農業委員会に出せばいいんですよね？」という方が結構多いです。確かに、それは間違いではありません。ただ、本当に大事なのは「出す前にどう準備しておくか」なんです。農業委員会に書類を出してから「こんなはずじゃなかった…」とならないために、実は出す前の段取りが結果を左右するといっても過言ではありません。

農地転用は、農業委員会や都道府県の審査を経て許可が出る仕組みです。でも、その審査というのは、「書類が揃っていればOK」という単純なものではなく、土地の現状、周辺環境、転用後の使い方、さらには地域全体への影響まで、多角的にチェックされるものです。しかも、自治体によって細かい運用ルールや審査の厳しさにも違いがあります。

たとえば、申請書に「太陽光発電設備を設置します」と書いてあっても、「どういう規模で、どこに何をどう設置するのか」が曖昧だったり、電力会社との接続契約が未定だったりすると、「事業の実現性が不明」と判断されてしまう可能性があります。また、土地の所有者との合意や賃貸借契約が不明確なままだと、そもそも受付すらしてもらえないことも。

このような問題を避けるためには、申請前の「事前準備」と「情報収集」が何よりも大切なんです。具体的には、農業委員会に正式な書類を出す前に、関係部署に非公式な形で事前相談をしておくこと。これだけで、許可の可能性がぐっと上がります。事前相談では、地域の土地利用方針、過去の審査傾向、現地調査のタイミングなど、今後の進め方のヒントがたくさん得られます。

でも、ここで「じゃあ自分で役所に行って聞いてこよう」と思う方もいるかもしれません。もちろん、それも可能ですが、行政とのやり取りには独特の言い回しや資料のクセがあるため、慣れていないと意図がうまく伝わらなかったり、誤解されてしまうことも少なくありません。

そういった点で、農地転用に詳しい行政書士のサポートを活用するメリットは大きいです。私たち行政書士は、書類を作るだけでなく、「どうしたら許可が通るか」という視点でアドバイスを行います。実際に、農業委員会との非公式な打ち合わせや、役所への確認も代理で行うことが多いですし、過去の許可実績や失敗例から学んだノウハウをもとに、確実性の高い申請を目指します。

さらに、申請内容によっては「このままでは難しい」と判断されるケースもあります。そういったときは、計画の一部を見直したり、申請時期を調整したりすることで、より許可に近づけるような提案をすることもあります。「とりあえず出してみてダメだったら考える」ではなく、「出す前に整えておく」が鉄則です。

農地転用の許可をもらうには、書類作成の技術だけではなく、全体の流れを読む力と、行政側の目線を理解する力が必要です。私たち行政書士法人さいま法務事務所では、そうした現場感を持ったサポートを行い、事業者の皆さまがスムーズに一歩を踏み出せるようお手伝いしています。

「こんなことで相談していいのかな？」と思う段階でも、実は早いほど良いんです。農業委員会に書類を出すその前に、ぜひ一度ご相談ください。ほんの少しの準備で、その後の進行がぐっとスムーズになります。許可率を高める最大のコツは、「早めに、正しく、動くこと」。それを一緒に実現していきましょう。