現場のリアル

毎年の営農状況報告書、提出は済みましたか?

既に営農型の一時転用を取得している皆様は、今年の状況報告書の提出はすでにお済でしょうか?
ありがたいことに、今年も状況報告書の作成から提出までのご依頼を複数いただいており、当事務所も提出の準備を急いでいるところです。

ご存じの方も多いかと思いますが、営農型の一時転用許可を取得した場合、「発電設備下部の農地に係る工作物の状況報告」を提出する必要があります。
通常の農地転用許可の場合、許可取得後に工事を開始し、工事が完了し次第「工事完了報告」等を提出することで行政での手続きがひとまず全て終了する形なります。

ところが、営農型の一時転用許可の場合、農地を『一時的に』転用し、営農を継続するため、農地は農地のまま残ります。
「営農型太陽光発電設備の運用は、下部の農地でしっかり営農している場合に限るよ」というこの制度の本旨と照らし合わせるためにも、客観的な資料を基にして、「しっかりと営農をしています」ということを示す必要があり、その資料となるものがこの状況報告書なのです。
状況報告は毎年2月末日周辺を期日として、その前年の営農状況や収穫量、その品質を提出します。

添付書類として求められるものは自治体によって違いがありますが、通常は下記のような写真の添付が必須です。
(1)営農作業ごとに、どのように作業していたかがわかるもの
(2)収穫作業時の写真と、収穫した量がわかる写真
(3)発電設備下部の営農状況がわかるよう、地面から発電設備下側までが見える写真

また、状況報告書には前年1年間で収穫した量や品質状況を記載し、また客観的な資料として写真や納品先からいただいた領収書を添付します。

この状況報告書で一点注意したいのが、「知見を有する者の所見欄」があることです。
通常は、営農型の一時転用許可時にご協力いただいた知見を有する方に、実際に営農状況や収穫物を見てもらい、適正な営農が継続しているか、また今後収穫量や品質を向上させるために、どのような改善を行えばいいかを判断してもらいます。

少し話はそれますが、一時転用許可はあくまで一時的なものなので、規定された許可期限到来前に更新手続きとして再度の一時転用許可申請をおこなうことになります。
その時にも、当初と同じように「知見を有する者の意見書」の添付が必須となりますので、農業委員会と同様に、知見を有する者とのお付き合いも、発電設備を設置し続ける間はずっと続くことになります。

状況報告書に前年の収穫量や品質、知見を有する者の所見欄を記載し、営農状況や収穫物の写真、収穫した作物の販売状況を示す納品書や領収書を添付すれば、やっと状況報告書の提出が可能になります。お疲れ様でした!

……と、ここまで読んでいただき、「この記事があれば、今後の状況報告はバッチリだ!」と安心していただいた方には大変恐縮なのですが、この状況報告、おそらく来年からさらに詳細なデータが求められることになります……。

令和6年1月2日までに応募されたパブリックコメントを基に、令和6年4月より、「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン」が制定される予定です。

記事の最後にリンクを貼っておきますが、このガイドラインが制定された場合、これまでの状況報告内容に加え、「栽培実績」として圃場の管理の仕方や生育状況の詳細、また収穫があったときには細目ごとの収入や支出を記載する「収支報告書」の添付が必須となります。

言葉を選ばずに言えば、これまで「なんちゃって報告書」でうまく誤魔化せていた状況報告が、適当な記載では一切認めらなくなるのです。
営農型の一時転用許可が「あくまで農地ありき、営農優先」という本旨を忘れず、直前になったあたふたしないよう、早めに営農にかかる細かなデータ管理と、何よりしっかりとした営農を心がけましょう。

当事務所にてお手伝いをさせていただく場合には、定期的な状況把握と行政との事前協議を早い段階で済ませ、期限管理にお手を患させることがないよう、全力でサポートいたします。

情報リンク:営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン案についての意見・情報の募集について

 

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