近年、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーへの関心が高まり、太陽光発電の導入を検討する企業や個人が増えています。しかし、実際に発電設備を設置しようとすると、必ず立ちはだかるのが「条例」という壁です。特に太陽光発電設備に関しては、国の法律だけでなく、各自治体ごとに独自の規制が設けられていることをご存じでしょうか。これらは一般に「太陽光条例」と呼ばれ、導入を検討する際に必ず確認すべき大切なポイントとなります。
まず理解しておくべきは、太陽光条例は全国一律ではないという点です。例えば、ある自治体では山林への大規模な太陽光設置を厳しく規制している一方で、別の自治体では比較的スムーズに許可が得られるケースもあります。背景には、土砂災害のリスク、景観保護、農業振興といった地域固有の事情があり、それぞれの地域が抱える課題を解決するために条例が定められているのです。
条例で規制される主な内容としては、設置場所の面積制限、住民説明会の実施義務、景観に配慮した設計、さらには廃棄パネルの処分計画まで多岐にわたります。特に近年は、設置後の長期的な環境保全に焦点を当てる自治体が増えており、「設置したら終わり」ではなく、運用や撤去まで見据えた計画を求められるケースが目立ちます。
また、太陽光条例は時期によって改正や新設が行われるため、過去の情報だけで判断するのは危険です。数年前には問題なく設置できた地域でも、現在は規制が強化されている場合があります。特に、農地転用を伴うソーラーシェアリングでは、農地法の許可に加えて自治体条例への適合も必須となるため、最新の情報収集が欠かせません。
実務の現場では、「農地転用の許可は下りたのに、自治体の太陽光条例に抵触して工事が進められない」といったケースが少なくありません。条例の確認を怠ると、許可取得や設備投資にかけた時間と費用が無駄になってしまうリスクがあるのです。逆に言えば、導入前にしっかり条例を調査し、適切な手続きを踏んでおけば、余計なトラブルを避けてスムーズに事業を進めることができます。
導入を検討されている方におすすめしたいのは、まず候補地の自治体でどのような太陽光条例が定められているかを調べることです。その際、自治体のホームページで公開されている条例文を読むだけでなく、担当部署に直接確認するのが確実です。条例文は専門用語が多く、一般の方には理解しにくい部分もあるため、できれば早い段階で専門家に相談することをお勧めします。
特に、農地に太陽光発電を設置する「ソーラーシェアリング」を検討している場合は要注意です。農地転用の手続き自体が煩雑であるうえ、地域の農業委員会の判断や条例との調整が必要になるため、自己判断だけで進めるのはリスクが高いといえます。
行政書士法人さいま法務事務所では、これまで数多くの農地転用やソーラーシェアリングの許可申請を手がけてきました。その経験から、自治体ごとの条例や審査基準に精通しており、事前調査から申請手続きまでトータルでサポートいたします。太陽光発電の導入をスムーズに進めたい方は、ぜひ早めにご相談ください。