現場のリアル

農地転用『知らなかった!』では済まされないハナシ

農地に太陽光パネルを立てたり、住宅を建設するためには、宅地や雑種地とは違い、事前に「農地転用許可」が必要となります。また、農地を農地のまま他人に譲ったり、権利の設定をした場合にも無断転用扱いとなり、罰則の対象となります。

そもそも農地とは、農作物や花卉、放牧を行うための土地であり、簡単に言えば「勝手に農地以外にしてはいけませんよ、農地以外としての活用をしてはいけませんよ」というルールが、農地法や農振法にて定められているのです。

事前の許可や決定を経ずに譲渡・賃貸や、又は自ら工作物を設置してしまうと、ほとんどの場合はすぐに撤去命令や取り消し指導がなされ、場合によっては「3年以下の懲役または300万円以下の罰則」や、法人の場合には「1億円以下の罰金」が科せられます。

さらに、このような違反転用・無断転用後は農業委員会での信頼がなくなるため、その後に適正な許可申請を行っても不許可となる可能性が高まります。

このように、「知らなかった!」というだけで、申請を怠ると立ち戻れない状況になったりする…これが日本の土地管理なのです。しかしながら、ご自身で手続きを進める方も少なくありません。それは、はじめてだからこそ「一人で行うことの大変さ、困難さを知らない」からこその判断でしょう。一度でも手続きを経験した方は、ほとんどの方が「一人で行おう」とは思わないからです。専門家である行政書士ですらも、やりたくない申請のひとつがこの「農地転用申請」なのですから。

農地転用許可申請が大変な申請である大きな理由は、以下の3つでしょう。

1.事前の調査が大変!

実は「農地」と一言で言っても、いくつか種類が分かれています。また、その農地がある土地の用途地域によっても、許可なのか届出なのか、と分かれてきます。仮に「許可申請」が必要だった場合でも、申請には「3条、4条、5条許可申請」というものがあり、適切な申請を行わなければ、そもそも受理さえされません

加えて、設置する工作物の用途や種類、また工事に伴い造成を行うか、木を切るか等で、農地転用に先立って関係各課との協議や別の申請が必要となる場合がほとんどです。

2.何の書類が必要?書類の準備が大変!

一言で農地を転用する、といっても、その用途によってさまざまな書類が必要となります。しかも、農業委員会によってはオーソドックスな書類のほかに、プラスアルファを求めてくることがあります。
以前お手伝いをした時の例ですが、賃貸駐車場(いわゆるコインパーキング)を設置する目的での転用の際、「その駐車場の需要がどれくらいあるのか」を調査したうえで、申請書類に添付するよう求められたことがありました…需要って、漠然すぎませんか?

 この時には、半径2km以内にある既存駐車場の1日平均稼働を調べ、また近隣住民の方から必要とされている旨の事情説明書を提出しましたが、今度は「署名した近隣住民が自家用車を所有しているか」を示す書類を追加提出するよう言われました(もうイジメに近い?)
ご署名いただいた方に事情を説明し、車検証の写しをいただくことで、この申請は無事に許可となりましたが、農業委員会によっては「〇〇がわかる書類を用意して。どういう書類かは自分で考えてね」と、漠然とした追加書類しか要求しない場合もあります。

3.申請に100ページ以上? 量が膨大で大変!

私もこれまでに、国際結婚から相続、古物商、風営、医薬品、お酒の販売に建設業…と様々な業務のお手伝いをしてきましたが、他の申請と比べ、農地転用の書類量は半端なく多いです。
これはあくまで一例ですが、多い時には200ページ程度の書類を収集・作成して申請ということもありました(しかも正副控えの計3部ですから、全部で600ページ…持ち運びだけで大変ですよね)。

もちろん、一筆のみの転用で、かつ個人使用目的だったりすれば2~30ページで足りることもあるのですが、それでも古物商申請やその他業務と比べると、農地転用は比べ物にならないくらい面倒な印象を受けます。(余談ですが、経営事項審査も農地転用に匹敵するくらい必要書類が多くなります)
当然、ご自身で申請をされる方もいるでしょう。以前のお客様も、太陽光パネル設置のための転用申請を自分でやったと言っていましたが、「役所に10回以上行った、もう担当との我慢比べだよね」と笑っていました

この労力と時間を少しでも軽くするために、当サイトでは農地や各申請の種類から、種類や目的ごとの申請のポイントや必要書類、また「ソーラーシェアリング」の概要に至るまで、出来るだけ細かく、かつ丁寧にまとめていきます。 農地転用をお考えの方は、必ずご自身で判断せずに専門家に相談することをお勧めします!

 

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