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ソーラーシェアリング設備設置で失敗しないための3つのチェック

再生可能エネルギーの導入が進む中、農地の有効活用として注目されているのが「ソーラーシェアリング」です。農地の上に太陽光発電設備を設置し、その下で農作物を育てることで、農業と発電を両立できる新しい仕組みとして広がりを見せています。農業所得の安定化や地域の脱炭素化にもつながることから関心が高まっていますが、実際に導入を進めるにあたっては、いくつかの大きな注意点があります。ここでは、ソーラーシェアリング設備設置で失敗しないために必ず確認すべき3つのチェックポイントをご紹介します。

チェック1:農地転用の許可と更新手続き

農地に発電設備を設置する場合、最初に立ちはだかるのが「農地転用許可」です。農地は農地法によって保護されているため、そのままの状態で発電設備を建てることはできません。ソーラーシェアリングの場合は一時転用として扱われ、通常3年ごとに更新申請を行う必要があります。

この更新手続きを軽視してしまうと、許可が失効し、発電事業の継続が難しくなるリスクがあります。農業委員会は「本当に農業と両立しているか」を重視しているため、実際に作付けを行っている証拠を提出しなければなりません。単に設備を設置するだけでは不十分で、農業活動を継続していることを示すことが必須となります。導入の前段階で、農地転用の仕組みと更新の重要性を理解しておくことが第一のチェックポイントです。

チェック2:設備設計と農業への影響

次に重要なのが、設備の設計と農業への影響です。ソーラーシェアリングは「発電」と「農業」の両立が前提となっているため、パネルの高さや角度、支柱の間隔が作物の生育に大きく関わります。日照が不足すると収穫量が減少し、農業経営に支障をきたす恐れがあります。逆に、農業への影響を軽視して設備を設計すると、更新時の審査で「農業が成立していない」と判断され、許可の更新が下りないケースもあります。

また、地域によっては風や豪雨といった自然条件に備えた安全対策も求められます。強風に耐えられる支柱設計や、土砂災害防止のための排水対策など、環境条件を十分に踏まえた設計が不可欠です。設計段階で農業者や専門家と協力し、農業と発電のバランスをとることが、失敗しないための大切なチェックポイントです。

チェック3:自治体条例と地域住民への配慮

ソーラーシェアリングを導入する際には、農地転用許可だけでなく、各自治体が定める「太陽光条例」や地域独自の規制にも注意が必要です。条例では、景観への配慮や住民説明会の実施、安全基準の確保、廃棄パネル処分計画の提出などが求められる場合があります。特に近年は、環境破壊や災害リスクを理由に規制を強化する自治体が増えており、導入後に条例に抵触して工事が中断するトラブルも少なくありません。

さらに、農地は地域社会と密接に関わっているため、周辺住民への説明や理解を得ることも欠かせません。地域住民の反対や不安が強いと、事業が円滑に進まないケースもあります。事前に十分な説明を行い、地域との協調を図る姿勢が事業成功のカギとなります。

まとめ

ソーラーシェアリングは、農業とエネルギーを両立できる魅力的な仕組みですが、導入には多くの手続きと配慮が必要です。①農地転用許可と更新、②設備設計と農業への影響、③自治体条例と地域住民への配慮。この3つのチェックポイントをしっかり押さえることで、導入後のトラブルを防ぎ、持続可能な事業として育てていくことができます。

行政書士法人さいま事務所では、ソーラーシェアリングに関する農地転用許可申請や条例調整をはじめ、地域との調整に至るまでトータルでサポートを行っています。数多くの実績をもとに、農地所有者や事業者の方が安心して発電事業を進められるようお手伝いしています。ソーラーシェアリングの導入をご検討中の方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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